「舞子VILLA Beach」今週の大江千里

 

 この曲は千里さんの中でもかなり思い出の詰まった曲だそうですね。私が初めてこの曲を聴いたのが高2の冬です。それまでポップな大江千里の曲が好きで、「YOU」や「六甲おろしふいた」「未来乗車券」「夏の決心」等々をよく聴いてました。ですが、この時期からなぜか「AVEC」や「APOLLO」に代表されるバラード曲にも魅力を感じるようになったんです。単にファンになったからどんな曲でも良く聴けるようになったのかな、とも思えますが、やっぱ違うのかもなとも思います。まず、イントロの入りから、エレピかピアノのような音としばらくして入るストリングスの音、説明できないけど、なんとなく切ないような寂しいような感じがしました。そして、とても綺麗で涼しげなサウンド、これって実際舞子の風景を意識したのかな? 実は去年電車で一人旅をした時に、舞子駅にも寄りたいと思ってたんですが、快速列車に乗ってしまい、残念ながらじっくり見ることはできませんでした。いつか六甲や塩屋、夙川なんかもいってみたいですね。

 この記事にこの曲の全てが表れています。
 この曲で最もすごいと思ったところ、もちろんサビのインパクトのある歌詞には魅了されました、が、私は、間奏や前奏の壮大なサウンドだと思ってます。ブラスに奥でなる低音ストリングス、高音のストリングス、ギター、グロッケン、奥行きもあって力強い演奏になってる。「アップテンポな曲想の隅に、言葉では言い表せない寂しさがひっそり潜んでいる。」記事にもありましたが、この壮大なサウンドだからこそ生まれる「隅」がより一層「言葉では言い表せない寂しさ」を作り、それがまた曲の良さとしても表れる。間奏では、私は、海を想像し、大きな波の音が聴こえるようです。周りを高い波に囲まれ、言葉では表現しづらい寂しさを感じる気がします。なんとなく特に2:35あたりの間奏を聴いてるとそんな気がしてきます。

 何よりこの曲が素晴らしいのって、アルバム「APOLLO」には多くのシングル曲が収録されながら、堂々と(してるかは突っ込まないで)4曲目を張ってシングル曲に全く劣らない、むしろ同等、それ以上。「APOLLO」では1、2曲目がシングル3曲目が私の中では異例のバラード曲・・・このアルバムは大江千里の中でもイレギュラーな気がしてます。ただ、このアルバムは3、4、5、曲目のバラードが最大の見せ場だと思っていますが。だいたいアルバムって1、2、3曲目には結構人気の出そうな・インパクトのある曲が多くて、リスナーも聴いてくれるんですよ。問題は4曲目がどうか、でそのアーティストの力量がわかる、とも考えられます。だから「1234」なんてのは4曲目に「Rain」があるのがとにかく最高で、要は隠し球みたいなものですかね笑 大江千里のアルバム4曲目はバラードが多いです。「年上の彼氏によろしく」「小首をかしげるTシャツ」「真顔」「砂の城」。中でも「舞子VILLA Beach」はかなりお気に入りです。この4曲目の配置こそ、ファンをより魅了させ、バラード曲の重要性を再確認させられるわけです。

 では、歌詞の方に移ります。

 「サーフボードを指でさして 始発の電車に乗る」私はこれを初めて聴いた時、サーフボードをかつぐ男とそれを指差す彼女、電車に乗ってる風景を想像しましたが、どうやってサーフボード持って電車乗るんだ!と思ってたら、あーこれって、電車の窓からサーファーを指差してんのかな…ってね。舞子駅を通る電車はボックス席だったから、それを加えると、電車内、向かい合って座るカップルがサーファーを指差してる、のかなと。はい。

 「一晩ずっとそばに居ても 様になるgirl 絵になるgirl」「様になる」とは「それっぽくなる」といった意味なんでね。もしこれが、自分の彼女として様になってきてる、絵になる、とかいう意味合いだったら、上からすぎるけどな笑

 「余計なことは言わなくていい 逢えるだけが嬉しい」クールな感じ、好きです。

 「ひざの上着にピザをつけて あわててるgirl 白い歯の」過去に大江千里を全く知らない女子高生にこの曲を勧めたことがあります。その時にここの「ひざの上着にピザをつけて」の部分が面白いとのことで。確かに。

 「好きと嫌いの間 行ったり来たりしてる 恋人になるその前に 行ってみたい場所を全部教えて」これは聞いてリストアップしてどうすんですかね。恋人になる前に行く?それとも恋人になってから行く? 父が大江千里の曲は「3つのおいしい」があると。一つは、好きな人もいない状態でただただ、客観的に、一ファンとして聴く大江千里。二つ目は、好きな人ができて、その子と付き合ってる状態を想像して、切なくなる時に聴く大江千里。そして三つ目、誰かと付き合ってる時に聴く大江千里。若干脱線はしてるけど、恋人になる前、なった後で色々と心は変わるんですね。知らんけど。

 「学年中で遊び上手と けしかけられてるけど 踏ん切れない自己嫌悪に ひじてつのgirl つれないgirl」これは言葉の通り。少し聞きなれない言葉はあるものの。遊び上手って噂のあの子だけど、実際は思いきりのない、それに嫌になってる、と。で、肘鉄を食らわすのように使われる「ひじてつ」、これは誘いを拒むこと、らしいので。実際は、噂通りの女の子ではなかったってことね。そんな噂の子の真相を突き止めるとは、主人公もなかなか。

 「素通りで手をつないだら 昼間の月が bon voyage」bon voyageはフランス語で「いってらっしゃい」「良い旅を」という意味だそうですが、果たしてこの歌詞に明確な意味があるのか…

 「幸せだけど泣きたいほど 遠くにいるgirl 木漏れ陽の」木漏れ陽のように隙間に、かつ遠くにいる女の子ですか?幸せなの?

 「YesとNoの間 行ったり来たりしてる 声とぎれるその前に 口をふさぐ 誰が見てても構わない」 キスですな。もともとつれない子なので「Yes No」がはっきりしないんだろ。
 
 「きみの気持ちがどこにあるのか 今はわからないけど きみが笑うとそれだけで 救われるよ 嬉しいよ」これは解釈の必要はないよね。

 「きみに送る 僕からのプレゼント デッキチェアを出して 各駅を見送るよ」これ、プレゼントってなんだろうか。ビーチで別れ、舞子のビーチでデッキチェアに座って各駅列車を見送ると。確かにあそこは快速列車は止まらない?新快速は止まらないのは知ってる。

 最後のサビは何度聴いても良いです。大江千里屈指の名曲。アルバム「APOLLO」はよく見かけます。手にとって聴いてくれる人が増えるといいなぁ。とりあえず大学の友達には聴かせたい。



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